メエヤオ地区

ミラーアートグループが活動しているメエヤオ地区には、チェンライ県の中西部に位置し、森林や山々に囲まれています。その広さは、約274平方kmです。メエヤオ地区の人口およそ2万1千3百人(2002年)のうち、80%が山地民であり、アカ族、ラフ族、ヤオ族、パガヨー族(カレン族)などのおよそ50の山地民の村があります。
以下は、メエヤオ地区に住んでいる主な山地民の紹介です。

●アカ

アカ族は、タイでは別称‘コー’又は‘イコー’(差別的意味合いを持つ)として知られ、主にチェンライ県やチェンマイ県に多く暮らしています。彼らは中国の雲南省に住むハ二族と近い関係にあり、ハニ族からアカ族のルーツを探ることができます。アカ-ハ二族の人口は全体で200~300万人程ですがタイで暮らしているのはわずかに10万人とされ、その人口は年々増しています。
アカ族の言語はチベット-ビルマ言語グループのロロ-イー派というものに属しますが、彼ら独自の伝統的文字は持っていません。これまでに宣教師や言語学者達が、ローマ字、タイ文字、ビルマ文字を使って何度もアカ語を形成しようと試みたのですが、未だにそれは確立していません。アカ族は昔から農業で生計を立てており、稲やトウモロコシ等、多種の作物を育てています。
現在、特にアカ族の多くの若者達はキリスト教を信仰します。総体的な生活習慣は、高齢層を中心に口承によっての伝統的スタイルを保ち続けています。アカ族の生活様式は、精霊崇拝、先祖崇拝、そして土地との深い関係を組み合わせられたもので、それは宗教的習慣という枠を超え彼らの存在を示しています。
アカ族は日常の習慣的行為を重んじ、家族の絆を大切にします。例えば、アカ族の男性は50世代も前まで血筋を遡った人達をも家族とするのです。しかし、そうしたアカの「絆」の強さも失われつつあります。タイ王国教育、土地制限、布教活動、テクノロジー、そして低地に住むタイ人への社会的劣勢感全てが合わさり、タイ社会に急激に吸収され影響を受けているアカ族の若者達が自分達の独自文化・習慣に対する関心を持たせなくしています。

●ラフ


ラフ族は元々チベットに住んでいた民族ですが、現在は約80万人のラフ族が、ラオス、ミャンマー、中国、ベトナム、タイに広がっています。人数分布としては、全体の約半数が中国に在住しており、タイには10万人が住んでいます。また、アメリカには1960-70年代に、ラオスに侵入してきたベトナム人共産主義者と戦った人々が形成しているラフ族の難民コミュニティーがいくつかあります。
ラフ族は沢山のサブグループに分かれる複雑な民族集団です。衣装や話す方言で分類することができ、タイだけでも、ブラック、レッド、シェレー、イエロー、ラバ、バンラン、ホワイトラフがいます。タイではレッドラフが最も多いグループですが、ブラックラフが共通語の役割を担っています。
ラフ族の伝統信仰は、一つの神の存在と万物に宿る精霊の存在を認める、一神教精霊崇拝です。しかし、ここ100年の間に大きく二つの宗教的な動きがあり、現在ではほとんどのラフ族がキリスト教に改宗、またはある特定の宣教師に付いていっています。ラフ族の中での最高神は‘ウーシャー’と呼ばれ、キリスト教に改宗した人々も、このウーシャーを神(God)として崇拝している場合が多くあります。
基本的に食糧農業で、米やモロコシ等を自分達のために育てますが、彼らは自分達の狩猟伝統にも誇りを持っています。彼らはとても厳格で、正義感が強く、高年齢層の村人の意思は若い年齢層の村人には絶対です。ラフ族は団結力が強く、民族の生き残りにかけて共に行動します。又ラフ族は、男性が権力を女性より持っている社会とは違い、異性平等の社会を持っています。


●パガヨー


‘森を守る民族’‘ケシを栽培しない民族’‘象を調教できる民族’として知られるカレン族は、タイ語では‘ガリアン’、英語では‘カレン’と呼ばれていますが、彼ら自身は自民族を‘パガヨー’と呼んでいます。カレン族は、現在のタイという国ができるはるか昔から、タイ、ビルマの一帯に暮らしていました。ミャンマーには300万人、タイには40万人ものカレン族が住んでおり、タイ国内に住む山岳民族の中で最も人口が多い民族です。
女性の民族衣装は、未婚者と既婚者では異なるのが特徴です。未婚の女性は、処女性を意味する白の木綿で織ったワンピース風の服を着、婚前交渉を厳しく禁じている彼らの性文化と深く関係しています。婚姻は一夫一婦制で、男性が女性側の家に入ります。
カレン族は、伝統的に他の山地民族よりも比較的低地に住んでおり、他の民族とは異なり一定の土地が枯渇しないよう7年から10年の周期で移動するサイクル方焼畑農法焼畑農業です。環境的にも長年耐えられる棚田の開発に力を入れています。
低地に住んでいるカレン族の殆どはタイ国籍を持っており、土地を購入し、無料の中等教育も受けています。また、団結力の強さからタイに住む山地民族の中でも際立って優利な立場にあります。


●ミエン


ミエン族、別名ヤオ族の発祥は5世紀までさかのぼります。彼らにまつわる記述によると過去2千年もの間ミエン族はチベット付近の山間部に住んでいたと記されています。中国-チベット系民族で中国文化の影響を多く受けており、漢字や漢語を使用しています。
28ものサブグループに分類されるミエン族ですが、大きく分けるとパン(ビエン)、ブヌ、チャスン、ピンティの4つのグループから成ります。この中では、定期的な移動が多いパングループが一番影響力を持っています。パングループはミエン語が発達したチベットの広域に集中していて、ブヌ語とラクジャー語は別の言語に発達していきました。
一夫多妻制で父系制であり、商売が得意なため他の民族より比較的裕福で、他民族から労働力として養子を買うこともあります。
ミエン族の信仰は、精霊と多神教崇拝、4世代の祖先崇拝です。祖先の墓を大切にし、もしそれを粗末にすると、自分が死んだときに悪いことが帰ってくると信じています。年に4回墓参りをし、家には祖先が宿るための仏壇のような物があります。
低地で暮すラオスやベトナムのランテンと呼ばれる人々と関係の近いミエン族は、15~16世紀あたりに中国雲南地方から移住してきたとされ、北ベトナム、北ラオス、そして北タイに広がって行きました。ミエン族の北タイへの移住は、インドシナ戦争後、ラオスがミエン族のCIAの秘密組織軍への参加に対して報復行為を行うという事が大きな要因となりました。ミエンやモン族の人々はCIAへの協力の御礼としてアメリカ合衆国によりアメリカへの難民移動許可を受けました。今日、5万人程のミエン族が西海岸、特にカリフォルニア北部に集中して暮しています。

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